同人誌紹介ブログ

よだかの行先 さそりの行方 あるいは銀河の瓶の底


【サークル:井口とんちき製作所/井口かこい様】
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【表紙:ホワイトポスト/オフセットフルカラー+マットPP加工】

表紙は幻想的なイラスト。
タイトルから連想される「ケンタウル祭の夜」のよう。
ウラ表紙も銀河鉄道にのっているジョバンニとカムパネルラのようで
慕わしさと少しの切なさを感じさせています。

PP加工はマットPPを貼り、穏やかで安らいだ雰囲気に合っています。


【本文:モンテシオン/スミ+オレンジの2色刷り】

本文は、モンテシオンにスミとオレンジの2色刷りで印刷。
物語の最序盤はスミ刷りのみで表現され、序盤終わりあたりで
登場人物が不思議な世界に入り込んでしまい
そこから突然パッとオレンジ色の絵柄が現れてくる仕掛け。



【2色刷り開始して間もなくの部分】

2色刷りの使い方も分けられており、物語の進み具合によって
オレンジインクの用途が変わっていきます。

2色刷りが始まって間もなくの間は、不思議な世界に入り込んでしまった人の
イラストやセリフなどにオレンジが用いられていました。



【物語の終盤部分】

物語の終盤になると、現実世界に戻ったのをきっかけに
オレンジの用いられている部分が変わってきました。

このあたりでは、人物の影や何かの能力などにオレンジが入っています。
特に、背景の空と足元の影がオレンジ色になっている部分は
何も言わなくても場面が夕景であることを示唆しており、鮮やかで美しい夕景となっています。

2色の使い方に工夫することで表現の幅がとても広がった素敵な作品です。

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◆お客様から頂いたコメント◆

前々から仕掛けのある本や絵が大好きで、自分で本を作る時も何かしら仕込みたいと思っていました。

見えるものと見えないものが存在する世界において、登場人物の片方が見えない方の世界に踏み込んでしまうというストーリーで、
見えない方の世界をどう表現するか悩んだ末、二色刷り、インクの違いで表現することにしました。

本を作るのは2冊目で、二色刷りはもちろんのこと、背幅のとりかたも印刷で出る色の感覚も掴めておらず、
正直不安しかない中、ご担当者様が1ページずつわかりやすく丁寧に修正の指示をして下さり本当に助かりました。

いざ仕上がった本を開くと、とても綺麗に印刷されおり、二色刷りもちゃんとできていて感激しました。
普段自分の作品を見て大喜びすることは少ないのですが、この本については別で、
ちゃんと完成していることが嬉しすぎて、しばらく持ち歩いていました。
表現したいことがちゃんと表現できたのはひとえにしまや出版様のお力添えがあってこそです。
ほんとうにありがとうございました。
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